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美人女性と同棲しつつアニメのヒロインに恋した伝説のオタク男【黒歴史】

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親愛なる読者諸君!

オタクパパだ!

 

前回、一生独身でも人生を楽しくエンジョイできる人間の例として、体育会系のイケメンリア充の実態を紹介した。

 

だが、一生独身でも人生を楽しく生きられるタイプは、なにも体育会系のリア充だけに限らない。

 

オタクの中にも、このようなリア充タイプの人間はいる。

 

彼らは、オタクでありつつも、充実した人生を送っているため、

オタ充

と呼ばれる。

 

というわけで、今回は、私が大学時代に出会ったとあるオタ充のリアルな話を紹介することにしよう。

充実したオタクの恐るべきライフスタイル

意識高い系のオタク・Hさんとの出会い

以下の話は事実に基づくが、なにぶん昔の話なので、ところどころで記憶違いなどがあるかもしれない。

 

また逆に、事実関係をあまりに正確に書きすぎると、当の本人から特定されるおそれもあるため、本質を失わない程度に意図的に脚色を加え、あえて事実関係をぼかしてもいる。

 

それゆえ、読者のみなさんには、その旨、あらかじめご承知おき願いたい。

 

以前、私が大学1年生のとき、アニメ研究会に入った話を紹介した。

https://otakupapa.net/otaku-circle-anime

私にとって、アニ研でのオタクライフはそれなりに充実したものだった。

 

しかしながら、同じアニ研の人間とさえも会話を拒む完全コミュ障の先輩に絶望した私は、アニ研を辞めることになった。

 

アニ研を辞めた私は、オタクサークルの新天地を目指して、アナログゲームサークルに入ることにした。

 

アナログゲームサークルとは、ボードゲームやカードゲーム、TRPG(テーブルトーク型ロールプレイングゲーム)などの非電源系のアナログゲームを2人〜大人数で囲んで遊ぶゲームサークルのことだ。

 

そのアナログゲームサークルの設立者が、これから紹介するオタ充のHさんだ。

 

はじめてHさんの姿を見たとき、私は大変な衝撃を受けたことを覚えている。

 

当時のオタクは、どちらかといえば、キテレツ君のような眼鏡をかけ、中肉中背の体格の戦闘力が低そうな人間が多かったように思う。

 

だが、Hさんは、そのようなオタクのステレオタイプの常識をことごとく覆す人物だった。

 

Hさんは、図体がごつくて存在感があり、大学生というより、むしろ土方で働くオッサンの作業監督にしか見えなかった

だが、Hさんは、外見こそ暑苦しいオッサンそのものだったが、中身は

意識高い系のオタク

だった。

 

とにかくアニメやゲーム、漫画などのオタク趣味全般の知識が深く、底なし沼のような男だった。

 

ところで、当時の私は、少女漫画雑誌「りぼん」や「なかよし」などの少女向けアニメにどっぷりハマっていたのだが、同じ男で少女アニメを理解できるオタク仲間になかなか出会えずに苦労していた。

 

というのも、周囲のオタク連中に話しかけても、

「は? 少女向けアニメ?

 オレあんまし

 詳しくないから・・・」

と、怪訝な顔をされて、かんばしい答えは返ってくることはなかったからだ。

 

だが、Hさんだけは例外だった。

 

彼は、私と同様、いや、それ以上に少女向けのアニメもしっかりチェックしていたのだ!

 

ある日、Hさんと少女向けアニメ「赤ずきんチャチャ」の女性キャラについて会話したことがある。

画像リンク(Amazon)

赤ずきんチャチャN 1 (マーガレットコミックス)

Hさんは目を輝かせて、怒濤のように話しはじめた。

Hさん

「やっぱり、

 『赤ずきんチャチャ』は

 どろしーちゃんが最高!

 

 どろしーちゃんは

 スタイルといい、性格といい

 大人の魅力がプンプンする!

 

 ああいう、ちょっとタカビーで

 ツンツンした感じの女性キャラが

 男心にぐっとくるんだよ!」

これを聞いて、私は感動のあまり、その場で涙を流しそうになったのはいうまでもない。

「赤ずきんチャチャ」のような少女向けアニメの話題で、普通に会話が通じる20歳以上の男がこの世の中に存在するとは、よもや夢にも思わなかったのだ!

 

かつて少年時代、「りぼん」を立ち読みしているところを目撃され、顔見知りの女性からさんざん笑われた黒歴史をもつ私にとって、Hさんは、さながら

広大な砂漠の中で

見つけたオアシス

のように輝いて見えたものだ。

 

また、Hさんは、18禁のゲーム、いわゆ工口ゲーにも造詣が深かった。

 

HさんはサークルのPCを購入する際も、

「オタクにとって

 工口ゲーが快適に動作しない

 PCに存在価値はない!」

といって、工口ゲーの動作環境に合った最適なPCのスペックを入念に検討するほどだった。

 

だが、それよりも驚くべきことは、Hさんのオタク趣味に対するストイックなまでの意識の高さだ。

大学近くの王将でオタク趣味を数時間ひたすら語るHさん

当時、サークル内では、「ガープス(GURPS)」「シャドウラン」「深淵」「トーキョーN◎VA」「ブルーフォレスト物語」などのテーブルトークRPG(TRPG)が流行っており、私も何度かゲームマスターをつとめたものだ。

 

(↓)私がいまも所有しているTRPGの傑作「CALL OF CTHULHU(クトゥルフの呼び声)」の初版。クトゥルフ神話は、いまでこそ、ニコニコ動画やアニメ「這いよれニャル子さん」などの影響で有名になったが、もともとは、このゲームが、日本におけるクトゥルフブームの火付け役といっても過言ではない。

 

(↓)こちらは、SFTRPGの傑作「トラベラー(TRAVELLER)」。マニアックだが、TRPGブーム初期の人気作だ。

(↓)こちらは、TRPGの原点ともいえる「DUNGEONS & DRAGONS」のベーシック。いわゆる赤箱だ。

(↓)こちらは、TRPGではないが、名作ボードゲーム「ASTEROID」。これも、私の数少ないアナログゲームコレクションの1つだ。

サークルのメインのプレイ日は土曜日だった。

 

プレイが終わった後、サークルメンバーで大学近くの王将に行っては、その日のプレイの感想やアニメやマンガ、ゲームなどのオタク趣味について夜遅くまで語るのが習慣となっていた。

 

Hさんは、王将のコテコテのメニューをひとしきり平らげた後、こう語ったものだ。

「やはり、最高のプレイを

 リプレイにして

 日本全国に発表したい!」

私を含むサークルメンバーは、Hさんの言葉にうなずいた。

 

だがそのとき、Hさんは突然、私を名指ししていった。

「だがしかし!

 

 今日のキミのプレイは

 最悪だった!

 

 はっきり言おう!

 キミはRPGの世界観に対する

 愛が足りない!

 

 もう少し真剣に

 キャラクターになりきって

 プレイを演じたまえ!」

そして、その日のプレイのどこがどう悪かったのか、Hさんは細かい問題点を指摘しては、私の反省をうながした。

 

ひととおり話し終えると、Hさんは最後にこう締めくくった。

「オレの理想はもっと高い!

 もっと熱いプレイを

 キミたちに望む。

 以上!」

ここで疑問に思った人も多いかもしれない。

 

たかだがゲームごときで

どうしてそこまで

熱くなれるのか?

 

だが、これがオタクの悲しい性なのだ!

 

実際、Hさんのゲームに対する姿勢は真剣そのものだった。

 

彼は、ゲームに限らず、あらゆるオタク趣味に対して一切妥協を許さず、

オタク道を徹底的に

追求する生き方

を心の底から望み、そして実践していたオタクの鑑のような男だった。

 

だが、このHさんのストイックなまでにオタク趣味を愛する姿勢が、後々サークルメンバーに恐るべき災厄を巻き起こすことになる。

圧倒的なコミュニケーション能力でオタクサークルを設立

ところで、新しいサークルを設立するに当たって、1つ問題があった。

 

というのも、私の大学には、アナログゲームサークルが2つもあったのだ。

 

アニ研を辞めたとき、私は、昔からあった古いほうのアナログゲームサークルに入ることを検討していた。

 

だが、古いゲームサークルは、いろいろとしがらみがあって、新しい試みがやりにくい。

 

その点、設立されたばかりのゲームサークルなら、古いしがらみもないため、柔軟性もあるように思われた。

 

それゆえ、新しいアナログゲームサークルが設立されたと聞いて、私は、Hさんが会長をつとめるアナログゲームサークルに入ることにしたのだ。

 

だが、不思議なのは、同じ大学ですでにアナログゲームサークルが存在するのに、なぜHさんのアナログゲームサークルが認可されたのか、という点だった。

 

私が疑問を投げかけたところ、Hさんはドヤ顔でいった。

「サークルの重複の点なら問題ない!

 

 あいつら老舗のサークルは

 ゲームをプレイするだけの

 狭い思考の奴らばかりだ。

 

 いってみれば、あいつらは

 ゲームしかしていない

 非生産的な連中だ!

 

 一方、オレのサークルの

 理想はもっと高い!

 

 このサークルは

 ゲームに限らず、

 アニメやマンガ、フィギュアなど

 あらゆる現代日本文化を研究する

 新しい文化研究サークルだ!

 

 だからオレは新しい

 現代日本文化研究サークルを

 立ち上げたいと

 

 知り合いの准教授に

 何時間も解説して説得し

 サークルの顧問に

 なってもらったのよ!」

あらゆる現代日本文化を研究する新しい文化研究サークル!

 

なるほど、その手があったのか!

 

これなら、サークルの重複について指摘される心配もない。

 

私たちは、Hさんの発想に舌を巻いた。

 

Hさんは、土方の現場監督のような外見に似合わず、巧みな弁舌でその場の雰囲気を支配する悪魔的ともいえるコミュニケーション能力があった。

 

Hさんの口から怒濤のようにあふれ出る弁舌を聴いた者は、みな魔術にかかったように、心を支配されてしまうのだ。

 

だから、Hさんの演説をえんえん数時間も聴かされた気の毒な准教授も、Hさんの魔術にかかって思わずその気になり、サークルの顧問になることを承諾したのかもしれない。

 

だが、肝心の部室はどうやって確保したのか?

 

ドヤ顔で一人悦にいるHさんに、私はその点を尋ねてみた。

「でも、Hさん。

 

 部室はどうやって

 確保したんです?

 

 サークル棟の部室は

 埋まってたでしょ?」

私が所属していた大学には、サークル棟と呼ばれる建物があり、アニ研を含むさまざまな文化系サークルの部室が入っていた。

 

だが、サークル棟の部室は軒並み、昔からある老舗の文化系サークルによって占められており、新興サークルが新たに部室を確保する余地は皆無だった。

「その点についても

 問題ない!」

Hさんは、さながら巨漢の兵士が武勇伝を語るように誇らしげに胸を張った。

「顧問の准教授から

 『サークル活動のために

  自由に使ってもいいよ』

 と快い返事をもらった。

 

 このとおり

 D棟の空き教室の鍵も

 オレの手中にある」

そういって、HさんはD棟の鍵を取り出して、私たちの目の前でジャラジャラ鳴らした。

 

D棟というのは、キャンパスの外れの小高い場所にぽつんと離れた小さな講義棟だった。

 

D棟は、メインの研究棟から遠く離れた場所にあるためか、一部の学科の講義のためにしか使われておらず、平日でさえも、学生の姿はほとんど見られなかった。

 

また、サークル活動を行う土曜日は、D棟そのものを半ば貸切状態で使用することができた。

 

どこの馬の骨ともしれない土方の現場監督風のおっさん風情の男の怪しげなサークル活動のために、准教授がここまで便宜を図ったのはなぜだろうか?

 

ひょっとしたら、この准教授も、現代日本文化(アニメ、マンガ、ゲーム)を愛好するオタクだったのかもしれず、Hさんから綾波レイのような美少女フィギュアを進呈された見返りなのかもしれない。

 

いずれにせよ、Hさんの魔術的なコミュニケーション能力のおかげで、私たちはアニメやマンガ、ゲームなど幅広い現代日本文化研究活動を存分に満喫することができたのだ。

年上のOL美女と同棲するオタク男

このように、怒濤のオタクライフを生きるHさんだったが、彼には驚くべき側面があった。

 

Hさんとアニメやマンガの話をしていて気づいたのだが、彼は年上の女性がツボだった。

 

「るろうに剣心」のヒロインでいえば、薫や操のような年下の少女よりも、恵のような大人の女性がHさんのストライクゾーンだった。

 

そんなHさんだったが、ある時期、ときどきサークル活動を早めに切り上げて、早々にひきあげることがあった。

 

不思議に思った私は、

「Hさん、どうしたんですか?

 ここ最近、いつも早めに帰って

 バイトでもしてるんですか?」

と、M先輩に聞いてみた。

 

M先輩は、ぽつりと呟いた。

「さあ、彼女に会いに

 行ってるんじゃないかな?」

彼女に会いにって?

は・・・?

私は一瞬、自分の耳を疑った。

「彼女って

 あのHさんに限って

 ありえないでしょ?

 

 あ、ひょっとして

 2次元の彼女ですか?」

だが、M先輩も隣にいたO先輩も、笑いもせず、真剣そのものの表情をしたまま、無言で黙りつづけていた。

マジかよ!?

 

先輩達によると、なんでもHさんは、年上のOL美人のハートを射止め、同じアパートで一緒に暮らしているという。

「え!? 

 一緒に暮らしているって、

 それって、まさか同棲!?」

先輩達はうなずいた。

「なんで!?

 どーして!?

 

 あんな野獣のような人間が

 リアルの女性にモテるなんて

 ありえないでしょ!!」

だが、M先輩は、なかば諦めたような顔をしていった。

「いや、でもこれは

 れっきとした事実だから、

 否定してもしようがないよ」

このとき、私の脳裏に浮かんだのは、

美女と野獣

という言葉だったのはいうまでもない。

「でも、Hさんって、

 まだ大学生なのに

 年上のOL美人と同棲するなんて

 

 いったいどういう

 魔法を使ったんですかね?」

そうつぶやくと、Mさんは両のこぶしを机に打ちつけて、突然泣き出したように叫んだ。

「そんなのオレが

 知りたいよっ!!」

その日のサークル活動は、さながらお通夜のようだった・・・。

アニ研のメンバーに恐れられる伝説の男H

それから幾日かして、私は再びアニ研を訪れることになった。

 

それまで未納だった会費を支払いに行ったのだ。

 

アニ研の先輩達は、私が入部時に進呈した庵野秀明監督のアニメ「トップをねらえ!」に魅入っていた。

 

他の先輩達は対戦ゲームをプレイしていた。

 

私が部室に入るなり、先輩達は声をかけてきた。

先輩A

「お! 久しぶり!」

先輩B

「キミ、アニ研を辞めた後、

 どうしてるの?」

先輩に尋ねられた私は、現在アナログゲームサークルに所属していることを話した。

先輩B

「●×研究会?

 聞いたことのない

 サークルだね?」

サークル名を聞いて、情報通の先輩も首をひねっていた。

「設立されたばかりの

  サークルなんで」

先輩A

「会長は誰?」

「Hさんという人が

  立ち上げたんです」

先輩達

「え! Hさん!?」

Hさんの名前を聞いたとたん、その場にいた先輩達がみな凍り付いたように固まった。

 

私はなにを驚く必要があるのか、さっぱり分からなかった。

先輩B

「キミ、Hさんって、

 本当にあの

 Hさんなのか!?」

私は、いぶかしげに思いつつも、思いつくかぎりのHさんの特徴をあげた。

 

先輩達の顔はみるみる青ざめていった。

先輩A

「Hさん、まだ

 この大学にいたんだ・・・」

先輩C

「退学処分になったんじゃなかったのかよ!?

 悪夢だ! 悪夢だよ!」

先輩達が頭を抱えるのを見て、私は先輩達に尋ねてみた。

私「みんな、Hさんを

  知っているんですか?」

唖然とする私を見て、先輩達は互いに顔を見合わせた。

先輩B

「キミ、本当に何も知らないんだね?」

先輩Bは、遠い目をして、私に恐るべきHさんの過去を打ち明けた。

大学中のオタクサークルを荒らしまくった悪魔H

アニ研の先輩達によると、Hさんは、かつてアニメーション研究会だけでなく、アナログゲーム研究会やSF研究会など、大学中のオタク系サークルに日夜出没しては、さんざん荒らし回ったそうだ。

 

Hさんは、大学の授業にはろくに出ず、始終どこかのオタクサークルの部室に入り浸っては、アニメやゲーム、マンガなどのオタク趣味に明け暮れる充実した大学生活を送っていたそうだ。

 

大学中のオタク系

サークルを完全制覇

 

Hさんの生き方は、さながら涼宮ハルヒのようだった。

 

だが、もちろん、それだけならいい。

 

Hさんが問題なのは、否応なしに周囲を巻き込む魔術的なコミュニケーション能力の高さと、

オタク趣味に対するストイックなまでの意識の高さだ。

 

その破滅的な性格のせいで、多くのサークルメンバーが徹夜で延々と続くゲーム大会に付き合わされて廃人になったという。

先輩B

「とにかく

 何もかもが異常だった。

 

 あのとき、SF研究会の連中は、

 授業にも行くことも

 まったく許されず

 

 『オタク強化合宿』といって、

 何日間も部室に監禁されて

 ひたすらゲームを

 プレイさせられたんだぜ・・・」

元SF研究会に所属していたという先輩Bは、まるで悪魔を目撃した老夫のように疲れ切った表情で、私に語りかけたものだ。

他の先輩達も同様だった。

 

彼らは、さながら悪魔か何かのように、Hさんとの恐るべき思い出を語ったのだ。

 

その結果、多くのサークルメンバーが大量に留年したという。

それも1回だけでなく、2回も3回もだ。

 

この話を聞いて、さすがの私も恐怖に引きつった。

 

そのとき、私は、前期の成績が出た後のある1日のHさんの言葉を思い出したのだ。

 

その日、サークルメンバーはみな意気消沈していた。

 

私の所属していた大学は入学後も厳しく、私ともう1人を除く1年生のサークルメンバーが全員単位を大量に落としていたのだ。

 

うなだれる私たち新入生を見て、Hさんはいった。

「K大では、放っておいても単位が空から降ってくる。

 

 某大では、地面に落ちている単位を拾うだけだ。

 

 だが、この大学は、単位が地面に埋まっているから、

 地面を掘らないと単位はとれない。

 

 これが現実だ!」

こんなことなら、もうサークル活動なんて辞めて、勉学に集中しよう。

 

そう思ったとき、Hさんから思わぬ言葉が飛び出した。

「だが、それでいい!

 

 それでこそオタクの

 あるべき生き方だ!」

は・・・?

それでいい??

私は一瞬、Hさんの思わぬ言葉に耳を疑った。

 

Hさんは、単位を落とした連中を満足げに見た後、かろうじて単位を落とさなかった私と、もう一人をじっと睨み付けた。

「しかるに、キミたちはなんだ?

 

 キミたちは、ゲームよりも

 お勉強のほうが大切なのかね? 

 

 はっきりいおう!

 キミたちはたるんでいる!

 

 ゲームに対する愛が足りない!

この言葉を聞いたとき、私の心の中には、どことなく違和感があったのだが、アニ研の先輩達の言葉を聞いて、はっきりと、

Hさんの本性を悟った

のはいうまでもない。

実は、大学VI年生だったHさん・・・

オタク系サークルのメンバー達が大量に留年したという

「オタクサークル 魔の留年期間」

の話をアニ研の先輩達から聞いた私はふと、それまで疑問に思っていたことを口にした。

私「Hさんって、

  何歳なんですか?

  どうみても大学生には

  見えないんですけど・・・」

私の言葉を聞いて、アニ研の先輩達は互いに顔を見合わせた。

 

そう。

Hさんはどこから見ても、大学生というより、土方の現場監督のようにしか見えなかった。

 

だから、Hさんに出会ったときは、

「えらいフケた大学生だな・・・」

という程度にしか思っていなかったのだ。

 

だから、アニ研の先輩達から留年話を聞くまでは、Hさんの年齢を聞こうなどという発想は浮かばなかった。

 

だが、先輩達の回答を私の予想の斜め上を行っていた。

先輩B

「そういえば、Hさん。

 かれこれ6留くらい

 しているのかな?」

6留!? 

マジ!?

ということは、18歳で入学してすぐに留年したとしても、少なくとも24歳!?

道理で大学生の割には老けていたわけだ・・・。

 

私は、先輩に質問した。

「でも、Hさんって、

 まだ2回生ですよね?

 それで6留ということは、

 もう卒業できないんじゃ?」

休学期間を含めて、大学に在籍できるのは、最長8年間だったはずだ。

 

だから、卒業するには、ギリギリというところだろうか?

先輩B

「そう。

 だから、てっきり

 退学処分になった

 と思っていたんだよ」

オタク界の這い寄る渾沌

その後、アナログゲーム研究会のM先輩から恐るべき話を聞かされた。

M先輩

「いや、Hさん

 就職先なら

 もう決まっているそうだよ」

私「え!? 

  6留もしているのに

  就職先が決まっているって?」

すでに就職氷河期に入り、ストレートに卒業した優等生であっても、就職先が見つからないご時世だった。

 

私が信じられなかったのも当然だろう。

 

だが、Hさんはすでに就職先が決まっているという。

 

私は聞かずにいられなかった。

私「Hさんの就職先って

  どこなんですか?」

M先輩は苦々しげにいった。

M先輩

「ゲーム会社だそうだよ」

は・・・?

ゲーム会社?

M先輩の話によると、Hさんは、ゲームの才能を認められ、そのコネを伝ってゲーム会社の内定をとったという。

私「マジ!?」

M先輩

「いや、Hさんが卒業してくれると

 正直なところ

 こっちも助かるけどね」

これがM先輩の正直な感想だったのだろう。

 

オタク趣味にどっぷり浸かりつつも、年上の美人のOLと同棲し、6留であるにもかかわらず、就職氷河期にゲーム会社の内定を勝ち取ったHさん。

 

一方、彼に巻き込まれた多くのサークルメンバー達はみな留年して地獄を見た。

 

そういう意味で、Hさんはさながら、

オタク界の這い寄る渾沌

とでもいうべき邪神のような人物だったのに違いない。

 

巻き込まれた側の人間からすれば、さぞかし迷惑だったことだろう。

 

ほどなくして私は、アナログゲームサークルを退会することにしたのはいうまでもない。

 

Hさんはいま、どんなゲームを作っているのだろうか?

 

というわけで、諸君もオタ充と付き合うときは、彼らオタ充たちの邪神的なペースに飲み込まれないように十分に気をつけてほしい。

 

オタクパパより愛を込めて!

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この記事を書いた人

重度のコミュ障のため、友達ゼロのオタク親父。初音ミクと魔法少女をこよなく愛する。

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