親愛なる読者諸君!
オタクパパだ。
いきなりだが、あなたが野比のび太級の最弱の小学生だったとしよう。
しかも、原作と違って、ドラえもんフリー(不在)という最悪の縛り設定付きだ。
さらに不運なことに、あなたは駅前の通りでガラの悪そうな中学生の不良2人組に絡まれたとする。
(↓)遊ぶ金がちょうど無くなった絶妙のタイミングで、いかにも弱そうな小学生(リアルのび太)を見つけた中学生の不良2人組。ここからリアルのび太の過酷な運命が始まった・・・。
彼らはあなたの肩になれなれしく手をかけて、ドスのきいた声で話しかける。
「おいガキ! 金を出せや!
ガキでも小遣いくらい、持っとるやろ!」
さらに不運なことに、今、あなたのポケットの中には、あなたの貴重な全財産が入っていたとしよう。
さて、このような最悪の状況を、あなたはどうやって切り抜けるだろうか?
もちろん、リアルのび太のあなたが、中学生2人組相手に喧嘩で勝つ可能性はナッシング、パーフェクトゼロだ!
また、体力のないのび太は、普通に逃げてもすぐに追いつかれるので、普通に逃げるという選択肢もナシだ。
さらに、彼らはこれまで数多くの小学生から金を巻き上げてきた札付きのワルなので、「お金がない」という見え透いた嘘をつけば、たちまち見破られてボコられることは必須だ。
以上をまとめると、次のようになる。
リアルのび太がとりうる選択肢
× 喧嘩する → 返り討ちにあってボコられる
× 逃げる → 速攻で追いつかれてボコられる
× 金がないとウソをつく → ウソを見破られてボコられる
どう考えても無理ゲー・・・!!
リアルにこのような状況に陥ったとき、ほとんどの人は絶望するだろう。
だが、諦めるのはまだ早い!
なぜなら、私自身、まさしく同じような最悪の状況に陥ったことがあるからだ!
というわけで、今回は、同じような状況に陥った(陥る可能性のある)良い子の読者諸君のために、私の小学生時代の実体験をもとに、リアルのび太が不良に絡まれたときに、うまく切り抜ける方法を紹介しよう。
【黒歴史】リアルのび太だった私の小学生時代
ところで、小学生時代の私は、まさしく野比のび太のような少年だった。
少しでも寒くなると風邪を引き、しかもなかなか治らないため、どんなに安静にしても、最低1週間以上は風邪が長引いてしまうという、スーパー虚弱体質の子供だった。
また、常時鼻が詰まって息が苦しいばかりか、肺の調子も悪く、風邪を引いていないときでも、なぜか喉の奥でいつも痰が絡んでいた。
それゆえ、教室ではいつもゲホゲホ咳をして、周囲から迷惑がられていた。
これが明治時代なら、結核か何かでとっくの昔にやられていただろう。
また、極度の末端冷え性のためか、他人と握手したときは必ずといっていいほど、
「うわ! 手が冷た!
お前、生きてる!?」
と、速攻で手を離され、それ以来、クラスの誰も、私と握手するのを嫌がるほどだった。
もちろん、顔色も悪く、肌も不健康に青白かったため、クラスメートからは、
「幽霊」
「外人」
「宇宙人」
という、不名誉なあだ名までつけられたほどだ。
「幽霊」や「外人」や「宇宙人」と自ら進んで遊ぼうと思う、奇特な小学生はおそらく皆無だろう。
それゆえ、小学生時代の私は、クラスで友達が全く皆無のぼっちの期間が長く続き、いつしか、空想で架空のアニメキャラを創りあげ、その架空のアニメキャラ相手に、たった独り、話しかけて遊んでいたほどだ。
そんなある日、私がいつものように架空のアニメキャラと一緒に遊んでいると、突然、私の兄が扉を開けて、私の部屋の中にズカズカ入ってきた。
兄は、私の顔を見るなり、開口一番、
「あれ? さっき、誰かと楽しそうに話している声が聞こえてたけど、
誰もいないのか? 話し声がしたから、友達がいたように思ったけど?
ひょっとして……おまえ一人だけ?」
と、部屋の中をしきりに見回しながら、不思議そうに私に語ったものだ。
このように、スーパー虚弱体質だった小学生時代の私は、まさしくリアルのび太といえるだろう。
いや、ドラえもんはおろか、親しい友達さえもいなかったので、のび太以下だったといってもいいだろう。
そんな最弱のリアルのび太だった私が、不運なことに、中学生の不良2人組に目をつけられたのだ。
だが、貴重な全財産を取られたくなかった私は、小学生なりに知恵を振り絞って、この最悪の窮地を切り抜ける方法を必死で考えたのだ!
以下、その当時の私が必死で考えた妄想をもとに、リアルのび太が不良グループに絡まれたときに生き残るための
リアルのび太の生存戦略
を紹介しよう。
【全国ののび太に捧げる】リアルのび太の生存戦略
【戦略1】不良の「縄張り」に入る前にアクションを起こすべし
ところで、不良に絡まれたとき、不良に逆らって事態を悪化させるより、
時間が経てば、状況がきっと良くなるだろう
という淡い期待を抱いて、不良に促されるがままに素直に行動する人もいるかもしれない。
だが、これはあまりにも楽観的な幻想だ。
なぜなら、この場合、時間が経てば経つほど、状況がますます不利になるからだ。
これは、不良グループの習性を考えれば容易にわかる。
一般に、不良グループは、ターゲットとなる犠牲者を探すため人が集まる狩り場と、ターゲットに実力行使に出るため人目の少ない縄張りの2つのポイントを別々にもっている。
そして、狩り場でターゲットを見つけると、その場では実力行使に出ず、いったんターゲットを連れて人目の少ない縄張りに移動する習性がある。
(↓)「敵を知り、己を知らば、百戦危うからず」と、孫子の兵法にもあるように、敵である不良の習性を知って、それに応じた正しい戦略を練ることで、最弱のリアルのび太であっても、ドラえもんの助けなしに、不良の魔の手から脱出することは十分に可能だ。
ここで、狩り場の例としては、例えば、アミューズメント施設のゲームコーナーやゲームショップの入口付近など、金を持ってそうな子供が集まる場所だ。
狩り場の例:
アミューズメント施設のゲームコーナーやゲームショップの入口付近など、金を持ってそうな子供が集まる場所
一方、縄張りの例としては、例えば、奥まった場所にある裏路地や公衆トイレ、河原など、人目の少ない場所だ。
縄張りの例:
奥まった場所にある裏路地や公衆トイレ、河原など、人目の少ない場所
以上を踏まえ、不良グループの行動パターンは次のようになる。
不良グループの行動パターン
1.人が集まる狩り場でターゲットを見つける
↓ ターゲットを連れて縄張りに移動する
2.人目の少ない縄張りでターゲットに実力行使に出る
また、不良から逃げられる可能性の時間依存性をグラフで表すと、次の図1のようになる。
図1:不良から逃げられる可能性の時間依存性の概念図。
上のグラフからも分かるように、逃げられる可能性は、絡まれる前が最も高い。
そして、絡まれた瞬間に逃げられる可能性が一気に激減し、絡まれた後は、逃げられる可能性は、経過時間とともにコンスタントに減少していく。
最後に、不良の縄張りに到着した時点で逃げられる可能性は0%になり、脱出は不可能となる。
このように、
時間が経てば経つほど、逃げられる可能性はゼロに近づく
のだ。
もちろん、不良の縄張りに入った後は、逃げられる可能性は完全にゼロだ!
(↓)不良の縄張りに入ってしまえば、逃げられる可能性はゼロになる。こうなると、パンツ一丁にされようが、全財産を取られようが、誰にも助けを求めることもできず、あなたは不良のなすがままにされる究極のバッドエンドだ。
このような状況に陥ったら、まさしく文字通りのバッドエンドといえるだろう。
このことからもわかるように、
「抵抗せず、相手の言いなりになれば、悪い扱いにはならないだろう。
きっと時間が解決してくれるさ!」
という考えで、不良のなすがままに行動するのは、確実に破滅に向かう最悪の選択なのだ!
逆に、一番ベストな選択は、
ヤバそうな相手に目をつけられる前に
こっそりその場を抜け出すこと
だ。
また、絡まれた直後も逃げられる可能性は高い。
なぜなら、人の集まる狩り場の付近は、まだまだ周囲に人目も多いので、不良もおおっぴらな行動をとることができないからだ。
仮に、相手が公の場で堂々と実力行使してくるようなDQN(*注1)だったとしても、多数の目撃者がいるため、通報による警察等の介入も期待できる。
だから、一時的に酷い目に遭うかもしれないが、決して悪い状況にはならないといえるだろう。
常識から外れた行動をする者の総称。DQNは周囲の迷惑を全く気にせず、平気で反社会的な違法行為をするため、「これだけ人目があるから大丈夫だろ」という状況でも、普通にボコられたりするので要注意だ。
以上の考察から、次の結論が導き出される。
リアルのび太の生存戦略1:
不良の縄張りに入ることを全力で阻止しろ!
不良に絡まれた後、人目が皆無の縄張りに入ってしまえば、100%バッドエンドになる。
それゆえ、不良の縄張りに入ることを全力で阻止する。
これが、リアルのび太にとっての生存戦略の重要なコアとなる。
というわけで、不良に絡まれた後は、時間との勝負だということをつねに頭の中に入れておいてほしい。
【戦略2】人目が多い場所では、不良の行動は制限される
次に重要なポイントは、相手がよほどのDQNでない限り、基本的に人目の多い場所では、不良の行動は制限されるという点だ。
なぜなら、不良にとって、人目の多い場所でおおっぴらに実力行使に出ると、いつ周囲の人達から警察に通報されるかわからないというリスクがあるからだ。
このようなリスクがあるからこそ、不良は狩り場では決して実力行使に出ず、わざわざ人目の少ない裏路地や河原などの縄張りに移動するのだ。
そして、この不良の心理を逆用すれば、何らかのアクションを起こすなら、あえて人目の多い場所で行うべきという結論になる。
人目の多い場所としては、例えば、商店街やモール街、大通りの交差点や駅の構内、デパートやスーパーマーケット、コンビニなどのお客の多いショップ内などだ。
人目の多い場所の例:
人目の多い大通りの交差点や駅の構内、コンビニなどのショップ内など
(↓)商店街やモール街などの人目の多い場所は、あなたがアクションを起こすのに絶好の場所だ。また、これらの場所は、スリなどのトラブルも多いため、監視カメラも多く設置されている。不良の縄張りに入る移動途中で、このような場所を見かけたら、「最後のチャンス」と考えて、全力で行動を起こすべきだ。
不良は、人目を気にせず安全に実力行使に出られる縄張りへと移動する習性がある。
だが、狩り場から縄張りへの移動途中において、人目の多い場所を通過する可能性は決して少なくはない。
それゆえ、縄張りへの移動途中でこれらの場所を見かけたら、脱出のチャンスと考えるべきだ。
逆に、この機を逃せば、あなたが助かる見込みは、時間とともに減少していくだけだ。
以上の考察から、次の結論が導き出される。
リアルのび太の生存戦略2:
人目の多い場所で何らかのアクションを起こせ!
不良に絡まれた後、何も行動を起こさないのは、最悪の選択だ。
だが、人目の少ない場所であがくのも、賢明とはいえない。
何らかのアクションを起こすなら、あえて人目の多い場所で行う。
この原則を、頭に叩き込んでおいてほしい。
【戦略3】ポジションが固定されている人間を巻き込む
次に、重要なポイントは、ポジションが固定されている人間を巻き込むということだ。
ポジションが特定されている人間とは、例えば、デパートの係員や駅員、ショップの店長などの持ち場が固定されている人間のことだ。
ポジションが固定されている人間:
デパートの係員や駅員、ショップの店長など、持ち場が固定されている人間
なぜなら、見て見ぬふりしていつでも逃げられる通りすがりのフリーの人間と違って、彼らは持ち場が固定されているがゆえに、個人を特定される可能性が高いため、その場から逃げられないからだ。
一般に、通りすがりの人間は、無用なトラブルを避けようとする傾向があるため、最悪の場合、助けを求めても無視されるリスクも高い。
一方、ポジションが固定されている人間は、仮に助けを求めてきた人を無視すると、個人が特定されているだけに、後で周囲からどんな非難を受けるか分からない立場にある。
対応を間違えば、職務をクビになる可能性だってあるだろう。
それゆえ、彼らは職務上の責任問題から、トラブルを見て見ぬふりを決め込むことができず、否が応でもあなたを助けざるを得ない立場にあるのだ。
(↓)通りすがりの通行人と違って、ポジションが固定された人は、管理責任上、その場から逃げられない立場にある。また、店内にいる人の場合、彼らの行動は、監視カメラにしっかりと録画されている可能性が高いので、ポジションが固定された人に助けを求めると、あなたを守ってくれる可能性が高い(というか、責任問題で職務をクビにならないために、守らざるを得ない)。
以上の考察から、次の結論が導き出される。
リアルのび太の生存戦略3:
ポジションが固定されている人間を巻き込め!
このように、トラブルに見舞われたとき、ポジションが固定されている人間に助けを求めるのが賢明といえるだろう。
【戦略4】逃げる方向は1つだけとは限らない
ここで、次のような疑問を感じる人もいるかもしれない。
「でもさ、不良の縄張りまでの移動途中で、逃げられないように始終つかまれてたら、一体どうやって逃げるんだよ? のび太並みの弱々しい腕力じゃ、どうあがいたって、逃げられないだろ!」
もっともな疑問だ。
ご指摘のとおり、のび太のような腕力のない人間は、不良から逃げようとしても、力負けするのが普通だ。
普通に綱引きをすれば、力が強い方が勝つのが当たり前だ。
だが、実をいうと、ちょっとしたコツをつかむことで、非力な人間であっても、相手のつかんだ手を簡単に振りほどくことができる。
ここでは、のび太のように腕力のない人間でも、相手のつかんだ手を簡単に振りほどくことのできる究極のテクニックを伝授しよう。
【究極奥義】のび太流脱出術
ターゲットを確保した不良は、相手が離れて逃げないよう、つかんだ相手を自分の側に引き寄せる傾向がある。
だから、不良につかまれたとき、不良から離れる方向に逃げようとしても、簡単に逃げることはできない。
橫方向に強い束縛力が働くからだ。
これは、逃げる側も、逃げられる側も、逃げる方向が1つしかないと思うから、起こることだ。
だが、実を言うと、下の図のように、つかまれた手をゆっくり上方に上げた後、勢いよく下方に叩き落とすように振り落とすと、それほど腕力を使うことなく、相手の手を簡単に振り払うことができる。
具体的なコツとしては、ちょうど大きな毛布を広げて表面のホコリをはたくような要領で、手を上方にゆっくりと振り上げた後、加速度をかけて一気に下に向けて振り下ろすことだ。
なぜ、橫方向ではなく、下方向に逃げたほうが、相手の手を振り払うことが簡単なのか?
これは捕獲者の心理を考えると分かりやすい。
なぜなら、捕獲者にとっては、捕獲した相手が橫方向に逃げることばかり意識しているため、捕獲した相手が下方向に逃げることは想定の範囲外だからだ!
また、この下方向への脱出テクニックは、次の3つの要素を利用している。
1.手を上にあげた反動を利用する
2.重力加速度を利用する
3.遠く(橫方向)に逃がすまいとする相手の心理を利用する
これら3つの要素が相乗効果を生むため、のび太のような非力な人間であっても、それほど腕力を使わずに、相手の手を簡単に振りほどくことができるのだ!
嘘だと思うなら、一度、友達相手に試してみるといい。
ほとんど力を使うことなく、簡単に相手の手を振りほどくことができることに驚くだろう。
また、相手に後ろから抱きすくめられた場合も、下の図のように、身体を膨らませるように上方に大きく伸びをした後、身体をすぼめて加速度をかけて下方向に勢いよくしゃがみ込むと、相手の捕獲を簡単に振り払うこともできる。
これらのテクニックは、のび太のような非力な少年はもちろんのこと、女性も使えるテクニックだ。
なるべく、このような事態には陥らないのがベストだが、何が起こるのか分からない世の中だ。
頭の中に入れておいて、決して損はしないだろう。
【戦略5】攻撃されたら大げさに痛がるリアル演技をしろ!
のび太のような非力な人間であっても、腕力を使うことなく脱出できるテクニックを書いたが、それでも不安に思う人もいるかもしれない。
「でも、相手に捕まってボコボコにされたらどうするんだよ?」
そこで、不良が場所もわきまえず、いきなり実力行使に出た場合に、あなたが身を守る方法を教えよう。
「ザ・ファブル」(南勝久)という漫画をご存じだろうか?
「ザ・ファブル」は、第41回講談社漫画賞一般部門を受賞した南勝久先生の漫画であり、「ファブル(寓話)」と呼ばれる裏社会で伝説のプロの請負人が主人公の作品だ。
ファブルは、一流のプロの請負人だけあって、喧嘩の強さも半端ない男だ。
だが、とある事情から、普通の弱い市民のフリをするため、反撃を一切せず、チンピラとキックボクサーにボコボコにされる。
もちろん、キックボクサーに普通にキックされたら、相当なダメージを受けるだろう。
だが、ファブルは、キックのダメージを大幅に減らすために、とあるテクニックを使う。
そのテクニックは、大げさに痛がる演技をするというものだ。
数多くの場数を踏んできた本物のプロならともかく、そこら辺の中途半端な不良にとって、どれくらい攻撃すれば相手がへたるか、個人差があまりにも大きいので、正直把握していないのが実情だ。
不良は、攻撃したときの相手の反応を見ながら、どれだけダメージを与えるべきか考えていることが多い。
それゆえ、この心理を利用して、大げさに痛がる演技をすることで、相手から必要以上にダメージを受けることを防ぐことができるのだ。
ただし、中途半端な演技は、見破られる可能性があるため、かえって逆効果だ。
痛がる演技をするときは、心の底から痛いと信じ込んで真剣に演技することだ。
具体的なコツとしては、昔食べ過ぎや盲腸などでお腹に激痛が走った体験や、虫歯で歯が痛くなった体験、骨折で痛みに苦しんだ体験などをできるだけリアルに思い出し、本当に骨が折れてしまったのかと自分自身でも錯覚するくらいに、悲痛なうめき声をあげて、むせび泣くくらいの演技をすべきだ!
どれくらいリアルに痛がる演技をすれば良いか、いまいち分からない人のために、演技の参考例をあげよう。
痛がる演技の参考例
「進撃の巨人」Season 2の第1話
「進撃の巨人」Season 2の第1話の最後で、調査兵団分隊長のミケ・ザカリアス隊長が、巨人に喰われるときに、哀れなほどの弱々しい顔で断末魔をあげて泣きじゃくるシーンがある。
最低でもこれくらいの演技をして痛がれば、真性のサイコパスでもない限り、相手はやり過ぎたのではないかと思って、それ以上、手を出さなくなる。
実は、この演技によりダメージを減らすテクニックは、私のその当時の実体験に基づくものだ。
当時の私は、中学生の不良2人組と移動途中、人目がなくなった瞬間に、突然空き地でケリを入れられたのだ!
このケリは、手加減していたためか、大して痛くはなかったのだが、私は、ケリを入れられた瞬間に、わざと自分から地面に転がってのたうちまわり、
「痛い痛い!!
骨が! 骨がああああ〜〜〜〜〜っ!」
と、悲痛なうめき声をあげならが、大げさに泣きじゃくる迫真の演技をしたのだ。
その様子を見た中学生の不良2人組は、不安そうに顔を見交わし、
不良A(不安そうな目つきで)
「おまえ、ガキ相手にやり過ぎだろ!
もうちょっと、手加減しろよ!」
不良B
「いや、オレ、ちゃんと手加減したはずだけど?
当たり所が悪かったんかな? おっかしいなあ……?」
(しきりに首をかしげる)
と、慌てふためいたのはいうまでもない。
実際、手加減したという言葉通り、この中学生のケリは大して痛くもなく、しょぼいものだった。
だが、私がその後も、苦痛で顔を歪めながら、片足をひきずるように歩いて、アフター・フォローの演技をしたため、中学生の不良2人組は、私が相当なダメージを受けたものと勘違いして、それ以上、手を出さなくなったのだ。
このように、「ザ・ファブル」のように、大げさに痛がる演技をすることで、ダメージを最小限に抑えることができるので、かなり有効な手法といえるだろう。
【実例】リアルのび太の決死の脱出劇
さて、話が脇にそれたが、中学生の不良2人組から脱出した私の実例を紹介しよう。
途中、業を煮やした中学生の不良2人組に(手加減されたとはいえ)ケリを入れられるという思わぬアクシデントもあったが、大げさに痛がる演技をする私を通りがかりの人が不審そうな目つきで見るのを見て思わずビビったのか、中学生の不良2人組は、私を急き立てるように別の場所に慌てて移動した。
そして、その先には、往来の激しい駅前の踏切があった。
踏切を渡る途中で、この機を逃せば、絶対に終わると悟った私は、意を決して、腹の奥底から、あらん限りの声を振り絞り、大声で叫びまくった。
「みなさ〜〜〜ん!
よく聞いてくださ〜〜〜い!
この人たちは、小学生からお金を取ろうとしている
とても悪い人たちで〜〜〜す!
しかも、この人たち、ぼくがお金を出さないと、
ヒドいことしてきたりしたんです〜〜〜!
このように、この人たちは、
お金のためなら、自分より弱い者に手を出す
とても悪い人たちなんで〜〜〜す!
だからみなさん!
ぼくに力を貸してくださ〜〜〜い!」
突然、往来の激しい踏切の真ん中で大声で張り上げた私の声を聞いて、
「なに、アレ?」
「あの子、中学生にやられてるんですって!」
「あらまあ!」
「あんな大きな男の子が2人がかりで
しかもこんな小さな子を!
最近の子供はひどいわねえ・・・」
と、驚いた周囲のお婆ちゃんやら主婦のおばさん達が続々と集まってきたのはいうまでもない。
突然大声で叫びだした私に、驚いた中学生の不良2人組は唖然とした表情で、非難の目を向けるおばちゃん勢に囲まれながら、注目の元凶である私から離れるように後ずさりした。
そのとき、踏切警報機が鳴り、電車が近づくのを知らせた。
そのとき、私はすぐさま中学生の不良2人組を尻目に、小柄な身体でおばちゃん勢の間を縫って踏切の反対側に移動し、遮断機が降りると同時に、その場から全速力で駆け出したのだ!
以上が、リアルのび太の私が、中学生の不良2人組から逃げ出した決死の脱出劇の顛末である。
【後日談】中学生の不良に必死に抵抗して得られたもの
このように中学生の不良2人組を相手に必死で抵抗した小学生の私だったが、そのとき守った私の全財産の総額は・・・
わずか50円・・・(震え声)
(↓)中学生の不良2人組に抵抗して必死で守り抜いた私の全財産は、わずか50円だった・・・。
あの「ワンパンマン」(ONE)のスーパーヒーロー、サイタマでさえ、200円を守り抜くために、中学生時代に不良2人組相手に戦ったのだ。
「たった50円のために、中学生の不良2人組相手に必死で抵抗したのかよ?
お前、バカじゃねーの?」
だが、よく考えてみてほしい。
当時の小学生にとって、50円というのは大変な財産だ!
なぜなら、10円の駄菓子が5つも買えるのだ!
だが、私が中学生の不良2人組相手に必死で抵抗して、50円を守り抜くことにより、私は思わぬ副産物も手にすることになった。
実は、この出来事があった翌日、いつものように小学校に登校してみると、クラスの男子がみんな騒然としていた。
詳しい事情を聴いてみると、私に絡んできた例の中学生の不良2人組は、タチの悪いことに、そのとき外に出ていた私のクラスの小学生男児のほぼ全員からお金を巻き上げていたのだ!
「昨日、すげー怖そうな中学生にやられた・・・」
「え? お前も、あの怖い兄ちゃんに金とられたのか?」
「オレ、あの2人組に囲まれたとき、思わずションベンちびりそうになったよ」
しかも、やられた奴の中には、クラスで一番図体がでかく、喧嘩のめっぽう強い、ジャイアン級のガキ大将も含まれていたのだ!
つまり、クラスの中で、中学生の不良2人組に絡まれつつも、最後までお金を守り抜いて無事に生還したのは、リアルのび太の私だけだったのだ!
(↓)クラスのジャイアン級のガキ大将でさえも敗北した巨人のごとき中学生の不良相手に、たった一人無謀な戦いを挑んで、無事に生き残ったのは、皮肉にも、クラスで最弱のリアルのび太の私だけだった。
中学生の不良2人組に小学生の男児のほとんどがお金を巻き上げられるという出来事が教師の耳に入ると、放課後、中学生の不良2人組が出没した駅前の通り付近を先生が見張ることになり、小学生は放課後に駅前をうろつかないよう注意されるようになった。
だが、この話には後日談がある。
それからしばらくして、学校帰りにクラスメートと通学路を歩いていると、なんと、例の中学生2人組にばったり出くわしてしまったのだ!
突然の出来事に、私達は思わず硬直してしまった。
だが、驚いたことに、中学生の不良2人組は、私を見かけるや否や、
「お! おまえ! あのときの超面白い奴じゃねーか!
久しぶりだな! 元気にしてたか!」
といって、満面に笑みを浮かべ、私の肩を親しげにポンと叩いたのだ!
中学生の不良2人組にとって、私の行動があまりにも突拍子もなかったためか、どういうわけか、超面白い奴という印象だけが残っていたらしい。
このとき、中学生の不良2人組と楽しそうに会話?している私を見て、普段私に対して威張っていたクラスメートが、唖然とした顔で私を凝視していた。
彼らは、あのとき心の中で次のように思っていたのかもしれない。
「なに!?
のび太のくせに、なんであの怖そうな中学生と楽しそうに会話してんだよ?
お前、のび太だろ!?
なんでオレたちから金を巻き上げた、超怖い中学生の不良と普通に会話してんだよ!?
のび太のくせに、わけわかんねーよ!?
おまえ、何者だよ!?」
実は、小学生のスクールカーストにおける私のポジションは、これまで最低レベルの扱いだったのだが、この出来事があってからというもの、
よく分からないが、何かやりそうな奴
ということで、ポジションが格上げされることになった。
つまり、中学生の不良2人組に必死に抵抗して、全財産の50円を守り抜くことによって、私は、物理的な利益よりもはるかに大切な、精神的なステータスを手にしたのだ!
【まとめ】ドラえもんはあなた自身の心の中にいる
さて、以上、リアルのび太がいかにして不良の魔の手をくぐり抜けたかについて長々と述べた。
ところで、読者諸君の中には、ひょっとすると、現在もリアルにさまざまな脅威にさらされている青少年もいるかもしれない。
また、子供だけでなく、大人でさえもブラック企業でパワハラなどに遭って命を絶つものが多い。
ここで述べたさまざまな戦略は、一見、不良に絡まれた人間にしか役に立たない特殊な事例のように思われるかもしれない。
だが、実は、これらの戦略は、次のように一般化することができる。
戦略1:最悪の事態に陥る前に何らかのアクションを起こすべし
(悪質なブラック企業から逃げるなど)
戦略2:なるべく人目の多い場所に問題をさらす
(ブログやSNSなどで助けを求めるなど)
戦略3:ポジションが固定された人に助けを求める
(NPCや法律相談センターなど、特定の組織に助けを求めるなど)
戦略4:逃げる方向は1つのみとは限らない
戦略5:追い詰められたら、大げさに反応する
要するに、これらの戦略は、不良に絡まれた場合だけでなく、パワハラを含むさまざまなトラブルに見舞われたときに、これらさまざまなトラブルからうまく脱出するための強力な戦略にもなりうるのだ。
現実世界には、困ったときに不思議な道具をもって助けに来てくれるドラえもんのような都合のいい存在はいない。
これがリアルのび太の現実だ。
だが、必ずしも絶望する必要はない。
なぜなら、ドラえもんは、あなたの心の中にいて、いつもあなたに手を差し伸べてくれているからだ!
実際、心の中にいるドラえもんは不思議な力でいつでも不可能を可能にしてきた。
空を飛びたいと願ったから、飛行機の作り方を教えてくれたし、夏でも涼しく過ごしたいと願ったから、クーラーの作り方を教えてくれた。
だから、あなたが困ったときも、心の中のドラえもんは、必ずあなたを助けてくれるはずだ!
なぜなら、これまで何百万、何千万もの人達の願いが、心の中のドラえもんによって叶ってきたからだ。
このような考え方に、あなたは思わず反発するかもしれない。
「心の中にドラえもんがいるって!
そんなバカなことあるかよ!?」
嘘だと思うなら、実際に、あなたの周囲を見回してみるといい。
あなたの周囲には、スマホやインターネット、冷蔵庫やクーラーなどの便利な道具であふれかえっていないだろうか?
これらの便利な道具は一体どこから出てきたのだろうか?
そう!
これらの便利な道具は、すべて心の中から出てきたのだ!
もちろん、道具だけではない。
うっとりするような美しいメロディの音楽も、思わず見とれてしまうような素晴らしいイラストも、面白すぎて夜も眠れないストーリーの漫画も、もともとはすべて心の中から出てきたのだ。
要するに、この世界では、まさしく心こそが、秘密の四次元ポケットなのだ。
だから、困ったときは、一度思い切って、周囲の雑音をシャットアウトし、あなたの心の奥底に住んでいるドラえもんの声に素直に耳を傾けてみるといい。
そうすれば、あなたが次にとるべき道が自ずから見えてくるはずだ。
最後にあなたを助けてくれるのは、他ならぬあなた自身の心だ。
なぜなら、あなたの心が助かりたいと思わなければ、どんなにあなたの友人や家族があなたを説得したところで、あなたが助かる見込みは少ないだろう。
逆に、あなたが助かりたいと心の底から思えば、あなたの友人や家族のアドバイスが生きてくるはずだ。
それゆえ、あなたを生かすも生かさないも、すべてあなたの心次第なのだ。
だから、どうしようもなく行き詰まったとき、心を静かにして、あなたの心の中のドラえもんの言葉に耳を傾けてみよう。
そうすれば、あなたの心の中のドラえもんは、あなたが本当に望む道を教えてくれるはずだ!
というわけで、人生に行き詰まったときは、あなた自身の心の中のドラえもんの声に耳を傾け、心の中から得られた知恵をもとに、充実したオタクライフを存分に満喫してほしい。
オタクパパより愛を込めて!
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