親愛なる読者諸君!
オタクパパだ!
前回は、ナチスの本性が、7歳以下の幼児にも容赦しない極悪だということを示した。
それでは、そのナチスの根源にして、大元ともいえる
総統閣下
アドルフ・ヒトラー
個人についてはどうなのだろうか?
これについて、ナチスを賛美してやまない高須クリニックの院長は、ヒトラー本人をも擁護する発言を行っている。
以下、高須克弥「ナチス肯定」発言集からヒトラーについての高須院長の発言をいくつか引用しよう。
出典

ヒトラーはいくつかの間違いをしたかも知れないが、僕は少なくとも欲深の嘘つきではないと思います。彼の発言では高潔な人物のように思えますが、皆さんはどう思われるだろうか?受け売りはなしで本音が聞きたい。
ヒトラーは自分の上官だったユダヤ人の命を助けてますよ。国家の狂気は戦時には常に起こり得ますが、彼個人は悪魔ではないと思っています。
高須院長によると、ヒトラーは、悪魔ではなく「高潔な人物」だという。
もし、高須院長のいうようにヒトラーが高潔な人物だとしたら、かつてイエス・キリストが自らの信徒を迫害したパウロに対しておこなったように、
自分の敵となった者の罪も許し
スネ夫のような陰湿なことは
決してしないはず
だ。
(↓)イエス・キリストは敵を許すことの大切さを説いたため、「高潔な人物」であったといえるだろう。
そこで、高須院長のいうように、ヒトラーが高潔な人物であったのか否かを検証するため、かつてヒトラーに絶対忠誠を誓いつつも、土壇場になって反旗を翻した部下のドイツ国防軍の軍人達に、ヒトラーがどのような振る舞いをおこなったかを見てみよう。
ヒトラーに叛逆したドイツ国防軍の軍人達
前回、クラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐など、ドイツ国防軍の将校を中心とした反ヒトラーグループが、1944年7月20日に爆弾でヒトラーを亡き者にした後、「ヴァルキューレ作戦」を発動させてクーデターを起こし、政権を掌握する計画について軽く触れた。
(↓)連合軍によるノルマンディー上陸作戦後、ドイツの戦況が悪化する前に一日も早くクーデターを起こして米英と講和することを望んだシュタウフェンベルク大佐は、爆弾でヒトラーを排除する大胆な計画を実行した。
だが、シュタウフェンベルク大佐の計画は失敗に終わり、この計画に加担したドイツ軍人達は反クーデター派に逮捕され、次々と処刑された。
シュタウフェンベルク大佐も、上官である国内予備軍司令官フリードリヒ・フロム上級大将の命令により逮捕され、国内予備軍司令部の中庭に他の将校達と処刑のため並ばされた。
処刑の際、シュタウフェンベルク大佐は、
「我が聖なるドイツ万歳!」
と叫んで銃弾に倒れたという。
だが、銃撃による処刑で済んだシュタウフェンベルク大佐は、むしろ幸運なほうだった。
というのも、クーデターに参加した他のドイツ軍人達には、
ヒトラー直々の命令に基づく
恐るべき仕打ちが
待ち受けていた
からだ!
ヒトラーに忠実なナチスの裁判所・人民法廷
このとき処刑された軍人達の中には、ドイツ国防軍のエルヴィン・フォン・ヴィッツレーベン元帥もいた。
ヴィッツレーベン元帥は、1940年のフランス侵攻においてドイツ第1軍を指揮し、対ドイツ要塞戦であるマジノ戦を突破してフランス軍部隊を降伏に追い込んだ戦功で騎士鉄十字賞を受賞した有能なドイツ軍人だった。
(↓)ヴィッツレーベン元帥は、1940年のフランス侵攻においてドイツ第1軍を指揮し、マジノ戦を突破し、フランス軍部隊を降伏に追い込んだ戦功で騎士鉄十字章を受賞した有能なドイツ軍人だったが、彼はナチスの本性を見抜き、シュタウフェンベルク大佐の計画に加わった。
出典 Bundesarchiv, Bild 146-1978-043-13 / CC-BY-SA 3.0
ヴィッツレーベン元帥は、クーデター派の軍事的最高位の人物として、クーデター成功の暁には国防軍総司令官就任が予定されており、「ヴァルキューレ」発動に伴う作戦命令もヴィッツレーベンの名によって出されていた。
だが、クーデターの失敗後、ヴィッツレーベン元帥は逮捕され、ヒトラー直々の命令で、ナチスの反逆者に対する人民裁判所の公判にかけられる。
この人民裁判所は、もっぱらナチス・ドイツへの反逆者を裁くための裁判所であり、ヒトラー直々の命令によって開かれたものだ。
その証拠に、1942年8月に法廷長官に就任したローラント・フライスラーは、ヒトラーに宛てた書簡で、
「今後、閣下ご自身の分身として、閣下のお考えに沿う通りの判決を下すよう絶えず努力する所存でございます」
と心構えを書いているほどだ。
(↓)総統閣下の忠実な下僕として、総統閣下の意に沿った判決を下した法廷長官のローラント・フライスラー。フライスラー自身、人民裁判所の役割を十分に理解し尽くしており、「自分でも偏った裁判をしていることは嫌なほど理解している。しかしこれも単に政治的な目的のためだ。」という言葉を残しているほどだ。
出典 Bundesarchiv, Bild 151-39-23 / CC-BY-SA 3.0
それゆえ、人民裁判所は、
ヒトラーの意向を忠実に反映した裁判所
といえるだろう。
ヒトラーの命令で家畜以下の扱いを受けたドイツ軍人達
そして、このヒトラー総統の忠実な機関としての人民裁判所において、ヴィッツレーベン元帥は、人間らしい扱いを受けず、始終屈辱的な扱いを受けることになった。
獄中でゲシュタポの厳しい取り調べを受けて痩せこけたヴィッツレーベンは、わざとサスペンダーやベルトを外して出廷させられ、始終ズボンを腰のところで押さえていなくてはならなかったそうだ。
(↓)裁判長のフライスラーは、その姿を見て、「見苦しい!何故ズボンを弄くっているのかね? この薄汚い老いぼれめ!!」と嘲笑したという。
出典 Bundesarchiv, Bild 151-12-16 / CC-BY-SA 3.0
この屈辱的な判決の結果、ヴィッツレーベンは翌日、ベルリンのプレッツェンゼー刑務所で処刑されることになったが、その
執行方法が異常きわまりない
ものだった。
処刑場には、天井に固定された鉄製のレールに、食肉を吊るすための大きな6つのフックがかけられ、そこから
ピアノ線のように細い
ワイヤーロープ
が垂れ下がっていた。
このピアノ線を使った処刑方法は、ヒトラーの
「陰謀者たちの苦しみをできるだけ長くせよ。
連中にはいかなる慰めを与えてはならない。
連中を家畜の生肉のように吊るせ。」
という命令を忠実に実行するために、ナチスが考案した特別な処刑方法だった。
また、ヒトラーは、被処刑人に救いや慰めを与えないため、神父・牧師など宗教関係者の立会いを禁じるようにも命令した。
それだけではない。
処刑室の中には、さらに
部屋の中に置かれたテーブルに
ブランデーの瓶とグラスが置かれていた
という。
これは、立会人となった裁判所の将校達が、
ブランデーを味わいながら
リアルタイムに処刑の様子
を楽しむことができる
ように配慮したという、まさしく「賭博黙示録カイジ」の世界をリアルに体現したためだ。
(↓)「賭博黙示録カイジ」では、後戻りできない絶望の中、命がけの戦いに挑むカイジたちを見物人の観客が食事をしながら楽しむというシーンが衝撃的だった。ヒトラーはそのような状況をリアルにお膳立てしたのだ。
また、「苦しみをできるだけ長くせよ」とのヒトラーの命令を忠実に実行するため、ナチスの処刑人達は、ヴィッツレーベンの
首に通したピアノ線の細い輪を
時間をかけてジワジワと絞めた
のだ。
これだけでも十分に残虐な執行方法といえるが、それでもヒトラーは満足しなかった。
ヴィッツレーベンは、処刑の際、
上半身を裸にされ
じわじわと絞められる
ピアノ線に苦しみもがく間
ズボンを脱がされて
笑いものにされた
という。
このように、敵対者に対するヒトラーの復讐は、徹底して人間の尊厳を傷つける、非常に残忍な方法だった。
しかも、処刑室の隅には、撮影用のカメラが用意されており、わざわざ強烈なスポットライトを当て、処刑の様子をカメラで撮影したという。
これは、
ヒトラーが後で
敵対者の処刑映像を
ゆっくり楽しむ
ためだといわれている。
(↓)ヒトラーに敵対者の処刑映像を見せるため、被処刑者にスポットライトを当てて、わざわざ撮影したという。「高潔な人物」は、このようなことをするだろうか?
また、このときの映像は、見せしめのためにドイツの陸軍士官学校で上映され、激しい反発を巻き起こしたそうだ。
このエピソードからも明らかなように、決して敵を許さないヒトラーという男は、
高潔な人物どころか
スネ夫以上に
陰湿極まりない男
だったのだ!
ヴィッツレーベン元帥の過酷な運命を思えば、銃撃によって処刑されたシュタウフェンベルク大佐はむしろ幸運だったといえるだろう。
実際、ヒトラーは、爆弾で自分自身を亡き者にしようと画策したシュタウフェンベルクら首謀者を「安易に(苦しめずに)」銃撃で処刑したことに激怒したという。
そのため、ヒトラーは、シュタウフェンベルクらを逮捕して処刑したフリードリヒ・フロム上級大将さえも人民法廷の裁判にかけ、数多くの勲章などの名誉を全て剥奪した上でブランデンブルク・アン・デア・ハーフェルの拘置所で処刑したのだ。
このときのフロム上級大将に対する総統閣下の心情は、次のような感じだったのかもしれない。
「おいフロム! 俺はな、
ブランデーを飲みながら
鑑賞する将校達の前で
奴らがズボンを
ズリ落とされて
パンツ一丁のまま
ピアノ線でじわじわと
首を絞められて
もがき苦しむ姿を
映像に残してじっくり
味わいたかったんだよ!
また、士官学校の連中に
処刑映像を見せて
青臭い士官候補生共の
不快な表情を見るのが
楽しみだったんだよ!
それをお前、銃撃で勝手に
奴らを楽に処刑しやがって!
俺の楽しみが
全部台無しだろ!
罰として、
お前がこれまで貰った勲章を
全部剥奪して、
お前を処刑するっ!」
ヒトラーへの忠誠を示すべく、反逆者を逮捕し、即刻処刑したフロム上級大将からすれば、このようなヒトラーのとばっちりはさぞかし心外だっただろう。
フロム
「ちょ・・・!
俺は総統閣下のためを思って
奴らを逮捕して
即刻処刑したのに
どーしてこーなるの!?」
(↓)総統閣下のために反逆者を逮捕し、即刻処刑したはずのフリードリヒ・フロム上級大将も、首謀者を「安易に」処刑したことに激怒したヒトラーのとばっちりを受けて、シュタウフェンベルク大佐ら反逆者達と同様に処刑されてしまった。
出典 Bundesarchiv, Bild 146-1969-168-07 / CC-BY-SA 3.0
このように、かつてフランス侵攻時に顕著な戦績を残し、騎士鉄十字章をも受賞した戦功のある62歳のドイツ軍人に対して、ひたすら嘲笑して屈辱を与え、不名誉と苦痛に満ちた最期をもたらしたやり方は、
ヒトラーの真っ黒な本性が
もっとも顕著に現れた例
といえるだろう。
人間の本性は危機的状況であらわれる
上のエピソードを読んで、
「ヒトラーって、本当はいい人かも?」
と思った人は、少し考え直してほしい。
人間の本性が最も現れる局面は
危機に陥ったときの対処時だ
かつて自分に絶対忠誠を誓ったはずのドイツ軍人達が反旗を翻して、爆弾で自分自身を亡き者にしようと企てたことは、まさしくヒトラーにとって危機的な状況であったといえるだろう。
だが、危機に陥ったとき、ヒトラーが出した命令は、反逆者たちに対する
異常ともいえる仕打ち
だった。
このとき、まさしく
ヒトラーはその本性を
むき出しにした
といってもいいだろう。
また、ヒトラーは、ベルリン陥落の直前に、多くのベルリン市民を見捨てたばかりか、ソ連軍のベルリン市内への侵攻を防ぐべく、下水道に大量の水を流させて、下水道内に避難していた多くのベルリン市民を犠牲にしたのだ。
すなわち、
かつて自分を支持した
ドイツ市民でさえも
平気で見捨てるのが
ヒトラーの本性
なのだ。
このエピソードを聞いて、
現代の日本にも似たような
政治家がたくさんいる
ということにあなたは気づいたかもしれない。
というわけで、諸君も、たった一人、ナチス式敬礼を拒否した男、アウグスト・ランドメッサーのように、マスゴミによってでっち上げられた偏った人物像や英雄像を信じず、周囲に流されることなく、自分自身の目で真実を見極め、充実したオタクライフを存分に満喫するようにしてほしい。
(↓)たった一人、ナチス式敬礼を拒否した男、アウグスト・ランドメッサー。
オタクパパより愛を込めて!
(↓)「ヒトラー〜最後の12日間〜」は、ベルリン陥落時の詳細な記録を元に、ヒトラーの最後の12日間を描いた作品だ。「人間は追い詰められたときに本性を現す」という観点からすれば、この映画は、ヒトラーの本性を知るのに最適な映画だ。ヒトラー役を演じたブルーノ・ガンツの名演が素晴らしい作品といえる。
(↓)ヒトラーの伝記といえば、「劇画 ヒットラー」も忘れてはならない名作だ。「ゲゲゲの鬼太郎」や「悪魔くん」で有名な妖怪漫画家である水木しげるが描いたヒットラーの生涯は実に興味深いといえるだろう。ここでなぜ、「水木しげる先生がヒトラーの生涯なんて描くんだ?」と不思議に思われる方もいるかもしれない。だが、水木しげる先生にとって、
「ヒトラーは妖怪そのものだったから」
というのがその答えなのかもしれない。そういう意味で、必読の価値のある作品といえる。
(↓)「帰ってきたヒトラー」は、ベルリン陥落と同時に果てたはずのヒトラーが現代に蘇ったらどうなるか?をドイツ人が描いた衝撃のコメディ作品だ。原作はドイツでベストセラーになったほどだ。これまでハリウッド映画などで描かれたステレオタイプの偏ったヒトラー像ではない点が非常に新鮮な作品だ。ある意味、この映画を見たほうが、等身大のリアルなヒトラー像を知ることができるといえるだろう。
コメント
コメント一覧 (2件)
「悪に対する正義の鉄槌を!」
「悪い奴が居なければ世界は良くなる」
善悪や道徳でものを考える人はそう言います、チョビ髭の伍長閣下はちょいと純粋なだけです。高潔な善人は残虐です、悪に対する容赦の無さがそうします。
あとヒトラーは酒もタバコもやりません、全てをドイツ「国家」に捧げてます。
…
世の中「自分の事しか考えない考えない悪い人」ばかりなら自分の欲望の範囲を満たせば打算により、残りは親しい人や居なければ周囲の人に与えます、そうすれば足りないときに相手から分けてもらえる可能性が有るからです。
自己中心的な悪い人は特攻も自爆テロもしません、我が身が大事です、命より大切な高潔な志なんてないので利用価値のありそうな人間は殺したり傷つけたりしません、向上心も自尊心無い獣なので欲望は自分の手の長さの範囲で満足します。
正解から言えば「正義を信じる心こそ大間違い」です。
オウムの林郁夫は純粋な心で人々を救うことを願った心の綺麗な医者の鑑というべき人物でしたが、いくら目の前の人々の命を救おうとしても人々の苦しみを失くせないことに絶望しました。そして苦の元が生病老死であるならば最初に死を与えれば永遠に苦が無くなるという結論に至り毒ガスを撒きました。
「世界がみんなひとつなかよし」と思うから世界征服の為に戦争して反対するものを殺戮します。
彼が一介の画家で、「芸術で人々の心に光を」って思ってたらこうはならなかったでしょう。
政治家はピュアであってはならない。
mars様
コメントありがとうございます。
> 高潔な善人は残虐です、悪に対する容赦の無さがそうします。
なるほど、高潔な志を信じている人間ほど恐ろしいものはないのかもしれません。
そもそも、ナチスの行為自体、当時の格差の象徴であったユダヤ人をやっつけようという正義感から来ていますし、カンボジアのポルポトの行為も、もとをただせば格差社会をなくそうという「善意」から来ていますね。
「世の中から悪をなくそう」という行為そのものが悪だというのはある意味皮肉的だと思います。
オウムの林郁夫が純粋な心の持ち主だったというのも驚きです。
そういえば、医者にはどういうわけかナチスやヒトラーの信奉者が多いような気がしますが、これも「病原菌や悪性腫瘍など、人間の身体の中から悪いものを排除すれば良くなる」という現代医学の発想が、「悪い思想や民族を排除すれば世界は良くなる」というヒトラーやナチスの思想と根底のところで通ずるものがあるのかもしれませんね。
大変、示唆に富んだコメントをありがとうございました!